10歳までは当て書き、10歳を超えたらオーディション。

当て書きという言葉があります。

舞台や映画で

「この役はあの人にやってほしい」

と思いながら書かれた脚本のことです。

その一方、すでに脚本があり、

「この役に合う人はいないかな？」

と探すものもあります。

こちらはオーディションで選ばれます。

私は、10歳までは当て書き、10歳を超えたらオーディションの意識で子どもたちに接しています。

幼児に対して、先に

「こうなってほしい」

という理想を持つと、子どもの不足している点が目について目について仕方ありません。

それよりは、

「この子の能力を一番活かすには、どうすればいいだろう？」

と思いながら育てた方が、のびのび楽しく個性を伸ばせます。

幼児に大河ドラマの脚本を与えても、それをきっかけに無理をして、小学生以降無気力になったら大問題です。

あらゆる意味での損失は計り知れません。

受験するという選択をしたとしても、

「この子の能力を育てるにはどうするか？」

という視点がメインカメラでないと、いつも気分に左右され、まわりに振り回されて、軸を見失います。

10歳までは、今持っているもの、その子らしさを追求することです。

10歳までに土台ができたら、次はある形に向けてのオーディション参加です。

進路、進学、就職と、すでに形のあるものに向けて努力することで、自分の中の、今まで未開拓だった部分を育てられます。

この時期の伸びしろは、今まで気にしていなかったところ、苦手分野、避けてきたところにあります。

好きなこと、興味のあること、得意なことは10歳までに伸ばしてきました。

ここからは、ある脚本の役を勝ち取るためのチャレンジに変わります。

このチャレンジをすることで、幼さが消えていきます。

この時期、まだ

「私にちょうどいい台本、そろそろ回ってこないかな？」

と待っているのは時間の無駄です。

10歳を過ぎたら、自分から勝ち取りに行くことです。

まず、基本は当て書きです。

当て書きは、子どものことをよく知ることで可能になります。

知れば知るほど、子どもにとって楽しい脚本がつくれるようになります。

オーディション形式は、形になる、見栄えがいいということで、大人の心を揺さぶられます。

揺さぶられはしますが、幼児の間は、何があろうと当て書きです。

いつも主役は子どもです。

それでいいです。

10歳までその意識で育てたおかげで、そこから先、まわりと切磋琢磨、競争の世界に入っていけます。

高校にも大学にも定員がある以上、競争と無縁ではいられません。

だからといって、それをそのまま幼児、小学低学年に持ち込まないことです。

2022年新潟大学附属長岡小学校、附属幼稚園に合格しました。